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企画 2018年04月11日

クリエイターが仕掛けた華麗な伏線に気づいていますか?

シネマラマ

page:2 - クリエイターへの賛辞となっている大傑作『レゴムービー』

These foreshadowings is Awesome:『レゴムービー』

この映画はアカデミー長編アニメーション部門にノミネートすらされなかったことが話題になりましたが、それは映画の後半で起きる驚天動地のツイストがあることも一つの要因だといわれています。

そのツイストはかなり反則技に近いものなのですが、レゴだからこそ描ける見事な展開であると同時に、実は前半部分で映画の終盤で起きるどんでん返しが隠された多数の伏線によって示唆されています。

 

まず、魔法使いウィトルウィウスが持っている杖ですが、よく見ると本物のキャンディーです。そして彼のヘアバンドは輪ゴムです。

 

そして、お仕事大王の部屋には絆創膏、綿棒やら除光液、使いかけの消しゴムや食べかけのりんごなどが置いてあります。

 

もっと映画の冒頭に注目してみると、オープニングにておしごと大王とウィトルウィウスのやり取りが終わった後テロップで「8 and 1/2 YEARS LATER」と表示されますがこれはフィデリコ・フィリーニの『8 1/2』へのオマージュではなく、ある人物の年齢です。

その人物は映画の後半のどんでん返しの上での中心となる人物の一人です。

 

細微な箇所にまでつくり込まれた伏線

他にもたくさんこの映画にはヒントが散りばめられているのですが、もっとも感心した隠された伏線は“指紋”です。

”レゴは実際に人の手によって配置されたり、組み立てられているとしたら指紋が付くはずだ”

という至極当然な理屈をしっかりと描いています。

それは非常に微妙なのですが、よーく見ると随所に指紋がさり気なくついています。たとえば映画開始から15分10秒あたりのエメットのお腹部分にはっきりと映っていますし、36分43秒のバットマンの頭でも確認できます。

以上の三つを整理しましょう。

  • 一つ目、ありとあらゆるものがレゴで描かれている(海のシーンは本当に凄い)にも関わらず、レゴではないものがこの世界にあること。
  • 二つ目、テロップによる不自然な年月の経過。
  • 三つ目、“指紋”というレゴたち絶対に持っていない印が散りばめられていること。

伏線はわかるかわからないかの、バランスで敷くのがいいのですが、今作ではそれが絶妙です。

かつ、“レゴの世界にはないものがある”“レゴではない誰かの指紋”、の二点はレゴならではの特性を生かした伏線であることは非常にハイセンスなものだったと言えるでしょう。

作品全体には子供が考えた様な自由な発想がさく裂していますが、

 

それらの要素を腕のあるクリエイター達が見事に組み立て、細微な箇所にまで心血を注ぎ、レゴとそれを使って遊ぶ人たち、突き詰めれば創造することへの賛辞となっているAWESOME(最ッ高)としか言いようのない大傑作です。

 

まるでレゴのようにね。

■最後のひと言

伏線というものは実はそんなに重きを持つものではないとも思います。作り手があまりそこに集中をしたとしても結局は小手先にしか過ぎないので。メインを担わせる要素ではないし、巧みな伏線が全くない傑作なんていっぱいあります。

ただ、よくよく考えられた優れた伏線は物語において最高の調味料になります。物語の魅力で最も重要視する要素に“伏線がすごい”を挙げる人は少ないでしょう。しかし、大好きになった作品にもう一度観直す際に新しい解釈や更なる魅力への道筋へと誘うものして伏線は案内人の役割を担うのは確かだと思います。

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