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映画ランナー

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企画 2018年05月11日

服に隠された意味 / 『十二人の怒れる男』/ 『インサイド・ヘッド』

シネマラマ

今回は映像内の服の色に隠された意味を紹介します。

以前、私のブログにて『アラビアのロレンス』『スターウォーズ 旧三部作』『サイコ』『宇宙大作戦』の服の色キャラクターの心情や、置かれている状況、危険が差し迫っている事などを表すことを紹介しました。

今回は二つの映画を取り上げます。一つは白黒映画、もう一つはアニメ映画から。服の色が一体何を表していたのかを考えてみます。

  • 『十二人の怒れる男』(米:1957)
  • 『インサイド・ヘッド』(米:2015)

※以下、上記作品の結末に言及しています。未見の方はご注意を。

シロかクロか

シロかクロか?という台詞は刑事ドラマなどでよく聞く言葉です。

シロ=無罪、クロ=有罪という意味です。

白からは潔白、黒からは罪のイメージを連想させます。

その昔、映画は白黒でした。画面に映るのは白と黒、そしてその二つの間しかない色だけでした。当然、服の色もいくら煌びやかな衣装を着てもカメラはその色を十分には捉えませんでした。

では、服の色で何かを表現するという手法は無かったのか。

もちろんそんなことはありません。

では一つ白黒映画を例に考えてみます。『十二人の怒れる男』です。

この映画はよく高校や大学、映画学校などで上映されることがありますが、「白黒の映画なんて見てられっかつーの」という今まで白黒映画を観たことのないような若い人をも夢中なって観ちゃうほどの作品です。

最高峰の脚本、キャラクター達の描き分けの見事さ、計算されたカメラワークなど、ありとあらゆる点でエクセレントとしか言いようのない映画の一本ですが、ここでは服の色に着目してみましょう。

陪審員制度では無罪か、有罪かのどちらか一方に全員が一致することが原則となっています。

六日間も裁判を聞かされた陪審員たちは拘束されることにいい加減うんざりして、もうこれはもう有罪でとっとと片づけてしまいましょうや、という雰囲気で始まります。

早速、議論を始める前に無罪か有罪かの多数決を取ることになります。

十一人が有罪に手を挙げるなか、ただ一人、陪審員8番(ヘンリー・フォンダ)だけは無罪を表明します。そこから徹底的な議論の火ぶたが切って落とされるわけですが、陪審員8番だけが他の陪審員と決定的に違うものがあります。

それはズボンの色です。

他の陪審員はほとんどの人が黒色、もしくは灰色のズボンを履いていますが、彼だけが白いズボンを履いています。

映画を観ると、白色に近いズボンを履いている人が他にもいる(陪審員4番、6番)ので「なんだてめぇ、出任せふかしてんのかよ」とお思いになるかもしれませんが、映画が進むにつれて彼らのズボンの色は白ではない違う色であることをカメラは捉えます。それでもなお、はっきりと白いズボンを履いてるのは陪審員8号ただ一人です。そして、はっきりと白色のジャケットを着ているのも彼ただ一人です。

ちなみに、DVDやブルーレイ版のジャケットをみるとカラーになっているのでより明確にわかります。

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