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服に隠された意味 / 『十二人の怒れる男』/ 『インサイド・ヘッド』
シネマラマ
page:3 - 感情を色で表現する / インサイド・ヘッド次は近年で最も服の色の使い方が素晴らしかった作品を取り上げて見ます。
それはピクサー社の映画『インサイド・ヘッド』です。
この作品は11歳の女の子:ライリーちゃんと、彼女の感情を司る頭の中の二つ描いたとても稀有なタイプの映画です。
ピクサーはCGを使って現実の世界をコンピューター技術にて再構築した映像で、観客を驚かせ、楽しませてきましたが、ついに誰も見たこともない、そして誰もが持っている頭の中を描きます。様々なものに感情を宿すことも行ってきたピクサーが、今度は感情にも感情を持ち合わせてあげる発想を聞いたときはぶったまげましたね。
屈指の傑作ぞろいのピクサー作品群内でも最高クラスの脚本、斬新性、発想がインサイドしている作品だと私は考えていますが、ここでは服の色を用いた映像表現に着目します。
この映画の中では主要な感情は五つに分けられていて、そして色によっても明確に分けられています。
ヨロコビ(黄)カナシミ(青)ビビリ(紫)ムカムカ(緑)イカリ(赤)という感じです。
そして感情の色とライリーの着ている服の色は一致しています。
まず産まれたばかりのライリーが笑う時に彼女をくるんでいる布の色は黄色です。
そして幼いライリーにピーマン(もしくはブロッコリー:ここは国や言語設定によって異なります)を食べさせようとして、彼女はムカムカして嫌がり、そしてデザートなしと聞いてプンスカする時に着ているのは赤色の服と緑色のよだれかけです。
ここまでは感情を色分けした設定を上手く使った仕掛けだな、と思っていましたが、本当に感心したのは次の二つです。